相続手続きの流れをわかりやすく解説!必要な手続きと期限とは?
- すみれ大橋行政書士事務所
- 2月25日
- 読了時間: 24分
更新日:3月25日

▶︎1. 相続手続きの流れとは?基本を知ろう

1.1 相続とは?基本的な仕組みを解説
相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を家族などの相続人が受け継ぐことを指します。相続が発生すると、財産や権利義務が自動的に相続人に引き継がれますが、その過程で法律に基づいた手続きが必要になります。
相続の基本的な仕組み
相続の仕組みは、日本の民法で定められています。主なポイントは次のとおりです。
相続開始のタイミング
相続は、被相続人が亡くなった瞬間に開始されます。
相続人の範囲
配偶者、子ども、親、兄弟姉妹などが相続人になります。
相続財産の種類
現金・預貯金、不動産、株式、自動車、負債(借金)などが含まれます。
相続の方法
相続人は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの方法を選べます。
相続の3つの選択肢
相続人は、財産をどのように引き継ぐかを選択できます。
相続の方法 | 内容 | 期限 |
単純承認 | すべての財産と負債を無条件に引き継ぐ | 特に手続き不要 |
限定承認 | 負債が財産を超えない範囲で相続する | 相続開始から3ヶ月以内 |
相続放棄 | すべての財産と負債の相続を拒否する | 相続開始から3ヶ月以内 |
相続の基本ルールを押さえておこう
相続には、遺言の有無や財産の内容によって手続きが異なります。遺言書がある場合はその内容に従い、ない場合は法定相続分に従って財産を分けることになります。
相続は思ったよりも手続きが多く、スムーズに進めるには事前の知識が重要です。
1.2 相続手続きが必要になるケース
相続手続きが必要になるのは、亡くなった人(被相続人)の財産や負債を整理するためです。特に、次のような場合には正式な相続手続きが求められます。
遺産分割が必要な場合
被相続人の財産が複数の相続人に分配される場合、遺産分割協議が必要になります。たとえば、次のようなケースです。
預貯金があるが、相続人が複数いる→ 各相続人の合意がないと口座の解約や払い戻しができません。
不動産を相続する人を決める必要がある→ 誰が住むか、売却するかなどを相続人全員で話し合う必要があります。
相続税の申告が必要な場合
相続した財産の総額が一定の基準を超えると、相続税の申告が必要になります。
相続財産が基準額を超える場合→ 期限内に税務署へ相続税の申告・納付が必要です。
不動産や株式などの評価額が高い場合→ 事前に専門家に相談し、適正な評価を把握することが大切です。
借金や保証債務がある場合
相続は財産だけでなく、借金も引き継ぎます。
負債が財産を超える場合→ 相続放棄や限定承認を期限内に行う必要があります。
保証人になっていた場合→ 連帯保証などの債務も相続されるため、確認が必要です。
相続人が多い、または関係が複雑な場合
相続人が多かったり、相続関係が複雑な場合、手続きがスムーズに進まないことがあります。
再婚などで家族関係が複雑→ 法定相続人の調査が必要。認知された子どもも相続人になります。
相続人同士の意見が合わない→ 遺産分割協議が長引くこともあり、専門家のサポートが重要です。
遺言書がある場合
遺言書が見つかった場合、その内容に基づいて相続手続きを進める必要があります。
公正証書遺言がある場合→ すぐに手続きを開始できます。
自筆証書遺言がある場合→ 家庭裁判所での「検認」が必要になります。
▶︎2. 相続手続きの全体の流れと期限

2.1 相続発生から手続き完了までの流れ
相続手続きには、一定の順序があり、それぞれの手続きに期限が設けられています。スムーズに進めるために、全体の流れを把握しておくことが大切です。
相続発生から完了までの主な流れ
相続が発生すると、次のようなステップで手続きが進みます。
死亡届の提出(7日以内)
役所に死亡届を提出し、火葬許可証を取得します。
遺言書の有無を確認
遺言書がある場合は、内容に従って相続手続きを進めます。
相続人の確定
戸籍謄本を取得し、法定相続人を確定させます。
相続財産の調査
預貯金や不動産、株式などの財産を調査します。負債がある場合も確認が必要です。
遺産分割協議の実施
相続人全員で話し合い、財産の分け方を決めます。遺産分割協議書を作成し、署名・押印を行います。
相続税の申告・納付(期限あり)
相続財産が一定額を超える場合は、税務署へ申告・納付が必要です。
名義変更や各種手続きの完了
不動産の登記変更、銀行口座の名義変更などを行い、相続手続きを完了させます。
相続手続きのスムーズな進め方
相続手続きは、状況によって必要な対応が異なります。スムーズに進めるために、次のポイントを押さえておきましょう。
早めに専門家に相談する→ 相続に関する知識がなくても、専門家に相談することで手続きがスムーズに進みます。
必要書類を事前に揃える→ 戸籍謄本や財産の資料などを早めに用意しておくと、後の手続きが楽になります。
期限を意識する→ 特に相続放棄や相続税申告には期限があるため、早めの判断が必要です。
2.2 各手続きの期限と注意点
相続手続きには、それぞれ期限が決められており、遅れると不利益を受ける可能性があります。ここでは、主な相続手続きの期限と注意点について解説します。
相続手続きの主な期限
相続が発生してから、手続きごとに以下のような期限があります。
手続き内容 | 期限 | 注意点 |
死亡届の提出 | 7日以内 | 役所に届け出が必要 |
遺言書の検認(自筆証書遺言の場合) | できるだけ早く | 裁判所での手続きが必要 |
相続放棄・限定承認の申し立て | 3ヶ月以内 | 期限を過ぎると単純承認とみなされる |
所得税の準確定申告 | 4ヶ月以内 | 被相続人の所得税を申告・納付 |
相続税の申告・納付 | 10ヶ月以内 | 期限を過ぎると延滞税が発生することも |
不動産や預貯金の名義変更 | 3年以内 | 期限を過ぎると行政上のペナルティが課される |
期限を過ぎるとどうなる?
相続手続きの期限を守らないと、次のようなリスクがあります。
相続放棄や限定承認ができなくなる→ 期限を過ぎると、借金を含めてすべての財産を相続することになります。
相続税の延滞税や加算税が発生する→ 期限を超えると税額が増えるため、早めの申告が大切です。
預貯金や不動産の名義変更が遅れる→ 名義変更を放置すると、将来的に手続きがより煩雑になる可能性があります。
スムーズに手続きを進めるために
相続手続きをスムーズに進めるためには、次のポイントを意識しましょう。
早めにスケジュールを立てる→ 期限を意識し、計画的に手続きを進めることが大切です。
必要書類を早めに準備する→ 戸籍謄本や財産の資料など、手続きに必要な書類を事前に揃えておきましょう。
専門家に相談する→ 特に税金や遺産分割で不安がある場合は、行政書士や税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。
▶︎3. 相続手続きの具体的なステップ

3.1 まずやるべきこと:死亡届の提出と遺言書の確認
相続が発生したら、まず最初に行うべき手続きが「死亡届の提出」と「遺言書の確認」です。これらの手続きを適切に進めることで、後の相続手続きがスムーズになります。
死亡届の提出
死亡届は、被相続人(亡くなった方)の死亡を役所に正式に届け出るための書類です。
届出期間:死亡した日を含めて7日以内
届出人:同居の親族、同居していない親族、その他の関係者(友人や大家など)
提出先:死亡地・本籍地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役場
届出には、医師が作成した「死亡診断書(死体検案書)」が必要です。役所に提出すると、火葬許可証が発行されます。
遺言書の確認
相続の進め方は、遺言書の有無によって大きく変わります。まずは、遺言書があるかどうかを確認しましょう。
主な遺言書の種類と確認方法
遺言書の種類 | 確認方法 | 注意点 |
公正証書遺言 | 公証役場で検索可能 | そのまま手続きに使用できる |
自筆証書遺言 | 自宅や銀行の貸金庫で保管されていることが多い | 開封せずに家庭裁判所で検認が必要 |
秘密証書遺言 | 公証役場で作成されるが内容は秘密 | 検認が必要になる場合あり |
特に、自筆証書遺言を見つけた場合、勝手に開封すると罰則があるため注意が必要です。
最初の手続きをスムーズに進めるために
相続手続きを滞りなく進めるためには、以下の点に注意しましょう。
死亡届の提出を期限内に行う→ 火葬許可証の発行が遅れると、葬儀や埋葬に支障が出る可能性があります。
遺言書の取り扱いに注意する→ 特に自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認が必要になるため、開封せずに手続きを進めましょう。
他の相続人にも早めに連絡する→ 遺産分割協議の準備をスムーズに進めるため、早めに相続人と情報を共有することが大切です。
3.2 相続人の調査と確定方法
相続手続きを進めるうえで、最初に行うべきことの一つが「相続人の調査と確定」です。誰が法定相続人にあたるのかを正確に把握することで、遺産分割協議や相続登記がスムーズに進みます。
相続人の調査の方法
相続人を確定するためには、戸籍を取得して被相続人(亡くなった方)の家族関係を確認します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得
役所で「戸籍の附票」や「改製原戸籍」も含めて請求
すべての戸籍を確認することで、認知された子どもなども見落とさない
相続人の戸籍謄本を取得
すべての相続人の続柄を確認するために必要
法定相続情報一覧図を作成(必要に応じて)
役所で「法定相続情報証明制度」を利用すると、複数の手続きを簡素化できる
法定相続人とは?
民法では、相続人の範囲と順位が決められています。
順位 | 相続人の範囲 | 主な注意点 |
第1順位 | 子(養子含む) | 亡くなっている場合は孫が代襲相続 |
第2順位 | 直系尊属(父母・祖父母) | 子がいない場合のみ相続人となる |
第3順位 | 兄弟姉妹 | 直系尊属もいない場合に相続人となる |
配偶者 | どの順位でも必ず相続人になる | 他の相続人と共同で相続する |
※ 被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合は、孫が相続する「代襲相続」が発生します。
相続人確定時の注意点
相続人を確定する際には、以下の点に注意が必要です。
相続人が海外にいる場合→ 連絡や手続きに時間がかかるため、早めに対応する
認知された子がいる可能性がある場合→ 被相続人の過去の戸籍もすべて確認し、隠れた相続人がいないかチェックする
相続人同士の関係が複雑な場合→ 話し合いがスムーズに進むよう、第三者(専門家)に相談するのも一つの方法
3.3 相続財産の調査と評価の仕方
相続財産の調査と評価は、遺産分割や相続税の申告において重要なステップです。どの財産が相続対象になるのかを把握し、それぞれの価値を適切に評価することで、トラブルを防ぐことができます。
相続財産に含まれるもの
相続財産には、大きく分けて「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。
種類 | 内容 | 具体例 |
プラスの財産 | 受け継ぐことができる資産 | 預貯金、不動産、株式、貴金属、車など |
マイナスの財産 | 相続すると負担になるもの | 借金、住宅ローン、未払いの税金、保証債務など |
みなし相続財産 | 相続税の対象になるが遺産分割の対象外 | 生命保険金、死亡退職金など |
相続財産の調査方法
相続財産を正確に把握するためには、以下のような方法で調査を行います。
被相続人の預貯金口座の確認
銀行や信用金庫に問い合わせ、残高証明書を取得する
口座の凍結解除には相続手続きが必要
不動産の所有状況を調査
固定資産税の納税通知書や権利証を確認
法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得
株式や投資信託の有無を調べる
証券会社の取引報告書や残高証明書を確認
株価は時価で評価し、相続税の対象となる
負債や未払い金の確認
ローンや借金がある場合、金融機関に残高証明書を依頼
クレジットカードの利用明細や税金の未払いも確認
相続財産の評価方法
財産の価値を適切に評価することで、相続税の申告や遺産分割がスムーズに進みます。
財産の種類 | 評価方法 |
預貯金 | 被相続人が亡くなった日の残高で評価 |
不動産 | 路線価方式または固定資産税評価額を参考に算出 |
株式 | 証券取引所の終値や平均値を基に計算 |
動産(車・貴金属など) | 市場価格を参考に評価 |
相続財産の調査・評価で注意すべきポイント
財産の漏れを防ぐために徹底的に調査する→ 被相続人の通帳や契約書を確認し、見落としがないようにする
負債がある場合は相続放棄の検討も→ 借金が財産を上回る場合は、相続放棄や限定承認を検討する
専門家に相談するのも有効→ 不動産や株式の評価が難しい場合は、税理士や不動産鑑定士に依頼するのが安心
3.4 遺産分割協議と協議書の作成
相続人が確定し、財産の内容が把握できたら、次に「遺産分割協議」を行います。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合うことです。その結果を「遺産分割協議書」としてまとめることで、正式な相続手続きが可能になります。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議をスムーズに進めるためには、以下の手順を踏むことが重要です。
相続人全員が集まり、話し合いを開始
相続人全員の合意が必要。1人でも欠けると無効になるため注意。
遺産のリストを確認し、分割方法を決定
各財産をどのように分けるか、具体的に決める。
主な分割方法には次の3つがある。
遺産の分割方法
分割方法 | 内容 | 注意点 |
現物分割 | 財産をそのまま分ける(例:長男が自宅、次男が預貯金) | 財産の価値が均等にならないことがある |
換価分割 | 財産を売却し、現金で分ける | 売却に時間がかかる可能性がある |
代償分割 | 一部の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金を支払う | 代償金を用意できるかが課題 |
話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成
具体的な分割内容を明文化する。
すべての相続人が署名・押印(実印)し、印鑑証明書を添付する。
遺産分割協議書の重要性
遺産分割協議書は、今後の相続手続き(不動産の名義変更、預貯金の払い戻しなど)で必要になります。
法的効力を持ち、後のトラブルを防げる→ 口約束ではなく、書面に残すことで紛争を回避。
銀行や法務局での手続きに必要→ 預貯金の解約や不動産の名義変更には必須。
遺産分割協議がまとまらない場合の対応
話し合いが難航する場合は、専門家を交える→ 行政書士や弁護士に仲介を依頼すると、円滑に進むことが多い。
協議がまとまらない場合は家庭裁判所で「調停」や「審判」→ 相続人同士で合意できない場合、調停や裁判を通じて解決することも可能。
3.5 相続税の申告と納付手続き
相続税は、一定額以上の財産を相続した場合に発生する税金です。相続税の申告・納付には期限があり、遅れると延滞税や加算税が発生する可能性があるため、早めの準備が大切です。
相続税申告が必要なケース
相続税は、すべての相続で発生するわけではありません。相続した財産の総額が一定額を超えた場合にのみ、申告と納付が必要になります。
相続財産の総額が基準額を超える場合→ 課税対象となり、相続税の申告が必要。
相続財産に不動産や株式が含まれる場合→ 評価額によっては相続税が発生する可能性があるため、注意が必要。
相続人が放棄した場合でも注意→ 他の相続人の取得額が増え、税負担が変わる可能性がある。
相続税申告・納付の期限と手続きの流れ
相続税の申告と納付には、期限が決められています。
手続き内容 | 期限 | 注意点 |
相続税の申告 | 相続開始から10ヶ月以内 | 期限を過ぎると延滞税・加算税の対象になる |
相続税の納付 | 申告と同時 | 一括払いが原則(分割や物納も可能) |
申告・納付の流れ
相続財産の評価を行う
不動産や株式などの資産価値を算定する。
各相続人の取得額を決定する
遺産分割協議の内容をもとに、各相続人の取得額を確定。
税務署に相続税の申告を行う
申告書に必要事項を記入し、添付書類とともに提出。
相続税を納付する
金融機関や税務署で納付。分割(延納)や物納の方法もあり。
相続税の負担を軽減する方法
相続税の負担を軽くするために、以下の方法を活用できます。
各種控除を活用する→ 例えば、配偶者の税額軽減措置や生命保険の非課税枠などを利用する。
不動産の評価減を検討する→ 小規模宅地等の特例を活用すると、相続税額を減らせる可能性がある。
生前対策を行う→ 生前贈与や遺言書の活用により、相続税を抑えることができる。
申告・納付時の注意点
期限を過ぎるとペナルティが発生する→ 申告が遅れると、無申告加算税や延滞税が課されることがある。
納税資金の準備をしておく→ 相続財産の大半が不動産の場合、納税資金の確保が課題になるため、事前に対策を考える。
専門家に相談するのも有効→ 相続税の計算は複雑なため、税理士などに相談すると安心。
相続税の申告と納付が完了したら、相続手続きの大部分が終了します。
▶︎4. 相続手続きをスムーズに進めるポイント
4.1 トラブルを防ぐためにできること
相続手続きでは、遺産の分け方や手続きの進め方でトラブルが発生することがあります。特に、相続人が複数いる場合や、遺言書の内容が不明確な場合は注意が必要です。ここでは、相続トラブルを防ぐためのポイントを解説します。
トラブルが起こりやすいケース
相続に関するトラブルは、次のようなケースで発生しやすくなります。
相続人同士の意見がまとまらない→ 遺産分割の方法について意見が食い違うことが多い。
遺言書の内容に不満がある→ 相続人の一部が遺言書の内容に納得できない場合、争いに発展することも。
財産の分け方が不公平に感じられる→ 不動産などの分けにくい財産があると、不公平感が生まれやすい。
相続人の中に行方不明者がいる→ 連絡が取れない相続人がいると、手続きが進まないことがある。
トラブルを防ぐための対策
相続トラブルを未然に防ぐためには、次のような対策が有効です。
生前に遺言書を作成する
遺言書があると、相続の方針が明確になり、争いを防ぐことができる。
公正証書遺言にすると、内容の信頼性が高まる。
遺産の分割方法を工夫する
換価分割(財産を売却して現金で分ける)を活用すると、公平に分けやすくなる。
代償分割(一部の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金を支払う)も選択肢の一つ。
事前に相続人同士で話し合う
遺産の分け方について事前に意見をすり合わせておくと、スムーズに進められる。
家族会議を開き、相続の意向を確認しておくのも有効。
専門家に相談する
行政書士や税理士、弁護士に相談することで、適切なアドバイスが得られる。
特に、相続人が多い場合や、財産が多岐にわたる場合は、専門家のサポートが重要。
相続トラブルを防ぐためにできること
感情的にならず、冷静に話し合うことが大切→ 相続は感情が絡みやすいため、落ち着いて協議を進めることが重要。
相続手続きを早めに進める→ 時間が経つと、相続人の状況が変わり、手続きが複雑になる可能性がある。
専門家のアドバイスを受けながら進める→ 手続きに不安がある場合は、早めに専門家に相談するのが安心。
4.2 専門家に依頼するメリット
相続手続きは複雑で、専門的な知識が必要な場面が多いため、専門家に依頼することでスムーズに進められます。特に、相続人が多い場合や、不動産や株式など評価が難しい財産が含まれる場合は、専門家のサポートが大きな助けになります。
相続の専門家とは?
相続に関する手続きをサポートする専門家には、それぞれ得意分野があります。
専門家 | 主な業務 |
行政書士 | 遺産分割協議書の作成、相続関係の書類作成 |
司法書士 | 不動産の名義変更、相続登記の手続き |
税理士 | 相続税の計算、申告、節税対策 |
弁護士 | 相続トラブルの解決、遺産分割の交渉・調停 |
専門家に依頼する主なメリット
手続きの負担を軽減できる
必要書類の収集や作成を代行してもらえるため、時間と手間を大幅に減らせる。
役所や金融機関とのやり取りを任せることも可能。
ミスを防ぎ、確実に手続きを進められる
相続手続きは期限があるものも多いため、専門家のサポートで抜け漏れを防ぐことができる。
書類の記入ミスや手続きの遅れを回避できる。
相続トラブルを防ぐことができる
公平な視点で遺産分割のアドバイスをもらえるため、相続人同士の争いを防ぎやすい。
争いが起こった場合も、適切な解決方法を提案してもらえる。
相続税の節税対策ができる
適用できる控除や特例を活用し、税負担を軽減することが可能。
不動産や贈与を活用した事前対策のアドバイスを受けられる。
専門家に依頼すべきケース
相続人が多く、話し合いが難航しそうな場合
不動産や事業資産など、分けにくい財産がある場合
相続税が発生しそうで、節税対策をしたい場合
相続手続きの時間や手間を省きたい場合
専門家に依頼するときのポイント
どの専門家に相談すべきかを見極める→ 相続内容に応じて、適切な専門家を選ぶことが大切。
費用を事前に確認する→ 依頼する業務内容によって費用が異なるため、見積もりを取ると安心。
早めに相談する→ 手続きの期限があるものも多いため、相続が発生したらすぐに相談するとスムーズ。
▶︎5. 相続手続きに関するよくある質問
5.1 期限を過ぎたらどうなる?
相続手続きにはそれぞれ期限があり、期限を過ぎるとペナルティや不利益が発生する可能性があります。手続きを忘れてしまった場合、どのような影響があるのかを確認しておきましょう。
主な相続手続きの期限と遅れた場合の影響
手続き内容 | 期限 | 期限を過ぎた場合の影響 |
死亡届の提出 | 7日以内 | 遅延による過料(罰則)が科される可能性あり |
相続放棄・限定承認の申し立て | 3ヶ月以内 | 単純承認(すべての財産と負債を引き継ぐ)とみなされる |
準確定申告(被相続人の所得税申告) | 4ヶ月以内 | 延滞税や加算税が発生する可能性あり |
相続税の申告・納付 | 10ヶ月以内 | 延滞税・加算税が発生し、税務調査の対象になることも |
不動産の名義変更 | 3年以内 | 行政上のペナルティの対象となることも |
期限を過ぎた場合の具体的なリスク
相続放棄ができなくなる
3ヶ月を過ぎると、相続放棄や限定承認ができなくなり、借金がある場合でもすべて引き継ぐことになる。
相続税の負担が増える
期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課せられ、余計な支出が発生する。
申告が遅れると、税務調査の対象になりやすくなる。
不動産の名義変更が難しくなる
登記を放置すると、相続人が増えたり、関係者の把握が難しくなり、手続きが複雑になる。
2024年以降、相続登記が義務化され、一定期間内に手続きしないと罰則が科される可能性がある。
期限を過ぎてしまった場合の対応策
早めに専門家に相談する→ 期限を過ぎた場合でも、できるだけ影響を最小限に抑える方法を検討できる。
税務署や役所に事情を説明する→ 事情によっては、申告期限の延長が認められるケースもある。
できるだけ早く手続きを進める→ 遅れれば遅れるほど手続きが難しくなるため、すぐに対応することが重要。
相続手続きの期限を守ることは、相続人全員にとってメリットがあります。
5.2 遺言書がある場合とない場合の違い
相続の手続きは、遺言書があるかないかで大きく変わります。遺言書がある場合は基本的にその内容に沿って手続きを進めますが、ない場合は法定相続分に従って遺産分割を行う必要があります。
遺言書がある場合の相続手続きの流れ
遺言書の確認
自筆証書遺言がある場合は、家庭裁判所での「検認」が必要。
公正証書遺言の場合は、すぐに手続きを進められる。
遺言執行者がいる場合は、その指示に従って手続き
遺言執行者とは、遺言の内容を実行する責任者のこと。
遺産分割協議が不要なケースもある
遺言の内容が明確で、相続人全員が合意できればスムーズに手続きできる。
遺留分を考慮する必要がある
兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者・子・親)には「遺留分」があり、遺言の内容によっては請求できる。
遺言書がない場合の相続手続きの流れ
法定相続人を確定する
戸籍謄本を取得し、相続人を調査・確定する。
相続財産を調査する
預貯金、不動産、借金など、相続対象の財産を把握する。
相続人全員で遺産分割協議を行う
法定相続分をもとに遺産分割の話し合いをする。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の「調停」や「審判」で解決することも。
遺産分割協議書を作成し、手続きを進める
各種名義変更や相続税の申告などを行う。
遺言書の有無による相続手続きの違い
項目 | 遺言書あり | 遺言書なし |
手続きのスムーズさ | 明確な内容ならスムーズ | 話し合いが必要で時間がかかることも |
遺産分割協議 | 不要な場合が多い | 必ず必要 |
家庭裁判所の関与 | 自筆証書遺言の場合、検認が必要 | 必要なし(争いが起きた場合は調停や審判) |
相続トラブルのリスク | 低い(遺言の内容次第) | 高い(相続人同士の意見が分かれることがある) |
遺言書があることで得られるメリット
相続手続きがスムーズになる→ 相続人同士の話し合いが不要になる場合が多い。
財産を希望通りに分けられる→ 法定相続分とは異なる分け方も可能。
相続トラブルを防ぐことができる→ 遺産分割の争いを避けるために有効。
遺言書がない場合の注意点
相続人全員の合意が必要になる→ 一人でも納得しない場合、遺産分割協議がまとまらない。
相続人同士でトラブルになりやすい→ 特に不動産がある場合は意見が対立しやすい。
手続きに時間がかかることがある→ 遺産分割協議が長引くと、相続税の申告期限に影響することも。
遺言書の有無で、相続手続きの流れや負担が大きく変わります。
5.3 借金がある場合の相続手続き
相続では、プラスの財産だけでなく、借金(負債)も引き継ぐことになります。被相続人に借金があった場合、適切な対応をしないと、相続人が想定外の負担を背負うことになりかねません。
借金も相続の対象になる
相続の際、以下のような負債が引き継がれることがあります。
負債の種類 | 内容 |
金融機関の借入金 | 住宅ローン、事業融資、カードローンなど |
未払いの税金 | 所得税、住民税、固定資産税など |
クレジットカードの残債 | 分割払いやリボ払いの未払い分 |
連帯保証債務 | 被相続人が保証人になっていた場合、その債務も相続対象になる |
借金がある場合の対応方法
借金を相続した場合、相続人には次の3つの選択肢があります。
選択肢 | 内容 | 期限 |
単純承認 | すべての財産と負債を引き継ぐ | 特に手続き不要 |
限定承認 | 財産の範囲内で借金を返済し、超過分は支払わない | 3ヶ月以内 |
相続放棄 | 一切の財産・負債を相続しない | 3ヶ月以内 |
限定承認とは?
相続した財産の範囲内でのみ借金を返済する方法。
プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかわからない場合に有効。
相続人全員が家庭裁判所に申立てを行う必要がある。
相続放棄とは?
相続人が一切の相続権を放棄し、財産も借金も引き継がない方法。
相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要がある。
相続放棄をすると、次順位の相続人(兄弟姉妹など)に権利が移るため、注意が必要。
借金を相続するときの注意点
相続放棄の期限を過ぎると、すべての借金を引き継ぐことになる。
連帯保証債務も引き継がれるため、保証人になっていた場合は注意。
債務整理が必要になることもあるため、専門家に相談するのが安心。
借金の相続は慎重な判断が必要です。次のセクションでは、「相続手続きのまとめ」について解説します。
▶︎6. まとめ:相続手続きは専門家と一緒に進めよう
相続手続きは多くのステップがあり、期限やルールを守る必要があります。スムーズに進めるためには、正しい知識を持ち、適切な対応をすることが大切です。
相続手続きの基本的な流れ
死亡届の提出・遺言書の確認(7日以内)
相続人の確定と財産の調査
遺産分割協議と協議書の作成
相続税の申告・納付(10ヶ月以内)
名義変更や登記などの手続き
この流れを把握し、期限を守ることでスムーズに相続を進めることができます。
相続トラブルを防ぐために
遺言書を活用する→ 遺産の分け方を明確にしておくことで、争いを防ぐ。
相続人同士で早めに話し合う→ 事前に意向を共有することで、スムーズに進めやすくなる。
必要な手続きを期限内に進める→ 相続放棄や相続税の申告など、期限を過ぎると不利益が生じるため注意。
専門家に相談するメリット
相続手続きは専門的な知識が必要な場面も多いため、専門家に依頼すると安心です。
行政書士・司法書士:遺産分割協議書の作成や不動産の名義変更
税理士:相続税の申告や節税対策
弁護士:相続トラブルの解決や交渉
特に、相続人が多い場合や財産の分割が難しい場合は、専門家のサポートが大きな助けになります。
相続手続きは早めの準備が大切
相続は早めの準備と正しい知識があれば、スムーズに進めることができます。自分だけで対応するのが難しい場合は、専門家に相談しながら進めることで、安心して相続手続きを完了させることができます。
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